亮の日記

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悠木さんが亡くなって1ヶ月。悲しくて悲しくて、毎日涙がこぼれます。でも日々は過ぎて行き、僕も屋敷を切り盛りするのに精一杯です。まだ世の中に慣れていない僕は、電話にでるのが苦手。キャッチセールスの人に捕まって換気扇やクーラーの掃除、マンションや美顔器のセールスの人が来たりします。それで、電話にはなるべく出ないようにだんな様から言われてしまいました。久し振りに口をきいてもらえたと思ったら…でも、お屋敷のみんなは経験するのが一番だから電話に出なさいと言います。僕も知らない人と話すのはちょっぴり楽しいです。

悠木さんのかわりにだんな様のお世話もするようになりました。だんな様は相変わらずですが、上着を着せて差し上げる時、少しだけ膝をかがめてくれるようになりました。でも、ネクタイは結ばせてもらえません。たつみさんに沢山練習させてもらったのだけど…

「そりゃあ、妬いてるんだよ」

と、たつみさんは笑っておっしゃいました。僕はだんな様のために練習しているのに…でもきっと、だんな様の前ではとても緊張するので、うまく結べないだろうな…

でも、本当はうまくなったんですよ…