亮の日記

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 今日もお天気が良かったです。そしてカラスは…二羽来ていました…
 お屋敷のみんなから、もうカラスには餌をあげないように、と言われましたが、可愛そうで…
 みんなからカラスが出てくる恐い映画の話しを聞き、その後お遣いに出た女の子が話しに聞いたDVDを借りてきてくれました。
 …カラスの集団は恐ろしいけれど、おやつをあげていたら悪戯はしないと思うのです。鶴の恩返しや舌切り雀のお話しも、良いことをすれば鳥さんからご褒美をもらえますよね?ご褒美はいらないけれど、おなかが空いている鳥さんを見捨てることはできません。明日はカラス用のおやつを作って様子を見ようと思います。僕の出来損ないのパンも食べてくれるでしょうか?食べてもらえるのなら、練習にもなるし、毎日パンを焼きます。

 夜は巽さんから素敵な話しも聞きました。
 カラスは一夫一婦制なのですって。愛情が深い鳥なんですね。雄も子育てを手伝うのだそうです。二羽で来ていたのなら、つがいで、このお屋敷は彼らのテリトリーかもしれないそうです。そうであれば他のカラスがおやつを貰いに来たりしないのではないでしょうか…
 生涯誰か一人の人に添い遂げるなんて、とっても素敵ですよね。巽さんも早くいい人を見つけなければ…

「私だって好きな人くらいはいるよ?いつまでも振り向いてもらえなくて…いや、気が付いてくれさえしない人なんだ」

 巽さんはハンサムだし優しいしお仕事もできるし…こんな完璧な人から好かれているのに気が付かないなんて、なんて鈍い人なんでしょう。勿体ないです。僕でよければお手伝いしますよ、ぜひお屋敷に連れてきて下さい、と言うとにっこり微笑んでいらっしゃいました。いつも強引なのに、ご自分のことでは消極的なんだから…
 秋一さんにもこっそり相談してみようと思います。