亮の日記
昨夜、日記を書いた後、巽さんのお部屋へ行きました。ごめんなさいとお休みなさいを言いに行くと、巽さんは本当に温かな笑顔で出迎えてくれました。巽さんに、昨日僕がお会いできなくなってしまったのは決して巽さんが悪いわけではなく、僕が至らなかったからです、と言うと、巽さんはぼくをしばらくの間ぎゅっと抱き締めてくださいました。
その後、二人でココアを飲んで眠りました。巽さんと一緒です。このごろ僕は少しだけ淋しがり屋になったかもしれませんね。秋一さんもだんなさまがいらっしゃらないときは僕の部屋で一緒に眠ったりするので、誰かと一緒に眠るのが癖になってしまったかも。
僕はその日一日あったことやこの日記に書いたこと、秋一さんと巽さんは僕が知らない外の話しを沢山聞かせてくださいます。
昨夜は巽さんが子どもの頃、初めて水族館に行ったときのことを話してくださいました。鯖とか鯵が泳いでるのですって!僕はまな板の上で美味しそうに光っている魚しか見たことありません。
子どもの頃の巽さんは今よりもう少し素直で、間近で見たシャチの美しさに驚いたそうです。
その水族館で一番大きなシャチは入り江に迷い込み弱っているところを助けられたのですって。元気になって海へ帰そうとしたのだけど、帰らず、結局また浅瀬にはまって弱り…を繰り返した後、治療をした水族館でそのまま過ごすことになったのだそうです。
きっとそのシャチには好きな人がいたんだね。広い世界に帰るより、その人と過ごすことを選んだんだよ、と巽さんはおっしゃいました。
外に出られなくても良いから僕もずっとここで暮らしたい…