亮の日記

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今日、板井さんに、僕にお菓子を盛りつけるってどういう事なのか質問してみました。

 …その結果、今夜は巽さんとまだ一言も話していません。

 …巽さんは先ほどまでずっと、僕の部屋の前で謝っていらっしゃいましたが、巽さん悪いわけでは決してないのです。だから謝らなくて良いのですが…

 僕には沢山、悲しい思い出があります。
 本家に馴染めなかった子や病気がちだった子はあっという間にいなくなります。そんな子供達の中に…
 あの子の辛さや悲しさや、全ての感情が僕の中に残っています。それが、暴れ回ってどうしようもなく辛くなって、今夜は誰にも会えなかった。
 このお屋敷の中の人達はとても優しくて素晴らしい人達だから、少し感情的になってしまった僕を見せたくなかった。
 痛くて苦しくて、涙を流すのも辛そうだったあの子に、僕はただ手を握って祈るしかできませんでした。僕の目の前で泣きながら死んでしまったあの子の魂が天国に届きますように。何時かまた生まれ変わったら、一生笑顔で過ごせますように。

 そして、僕ももっとみんなに幸せを分けてあげられますように。だんな様がいらっしゃるこのお屋敷の中だけしか知りませんが、それでも僕はこんなに幸せです。お屋敷の外にはもっと沢山の素敵なことがあるんだろうな…みんながその沢山の幸せを掴めますように。

 少しづつ元気が出てきました。この日記を書いたら巽さんにごめんなさいを言いに行こうと思います。