亮の日記

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梅雨です。お庭のアジサイがとても綺麗です。アジサイは土の酸性度で色が変わるのですって。このお庭には本当に色とりどりのアジサイが咲いています。今日のおやつは…って、僕はおやつのはなしばかりしていますね…でも雨がしとしと降るこんな日は、お屋敷のお仕事も少なめです。暇になると食事に手を掛けます。

 でも…今日はこれだけではありませんでした。
 メイドの女の子が、猫ちゃんを連れてきてくれたのです。以前、まだ手の平にのるくらい小さな仔猫ちゃんを連れてきた、あの時の猫ちゃんです。すっかり大きくなり、とても可愛らしい男の子に育っていました。
 今日は仕事が少なくて良かった!おもちゃをたくさん持ってきていたので、それで遊んであげると可愛いったら…一日中遊んで、いっしょに沢山の悪戯をしました。だんな様の部屋には入らなかったけど、巽さんと秋一さんの部屋で、色々な物を床に落としたり、ベッドの中に潜って隠れんぼしたり…頭隠して尻隠さず、を実演してくれました。

 怒られるかもしれないけど、床に落とした物はそのままにしておきました。だんな様なら怒って恐くなってしまうけど、巽さんと秋一さんは許してくれそうだったから…それに、僕がやったのではないもの。本棚や机の上で猫じゃらしを振ったけれど、時々、自主的に前足でちょんちょんと触り、床に落としていましたから。
 けしごむとか、そんな他愛のない物だから大丈夫です。
 誰がこんな事をしたんだ?と言われてもみんなで黙っていることにしました。

 巽さんはすぐに気が付きましたが、秋一さんのお部屋は元からごちゃごちゃしているので気が付かなかったようです。
「ああ、あの時の…亮と猫が遊んでいる姿は可愛かったろうね。次回は私にも連絡するように。なるべく早く帰ってくるからね」
 巽さんも猫がお好きなようです。
 猫は高いところが好きなそうですから、巽さんがだっこしてあげたらとても喜ぶでしょう。

「迅が出張でいないときにまた連れておいで」

と、メイドの女の子におっしゃていました。だんな様がいないと寂しいですが、猫ちゃんが変わりに慰めてくれそうです。
 僕も飼ってみたかったな…