亮の日記

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今朝起きてみると僕の洋服がありませんでした…いつも着ているシャツもブレザーも、下着さえ…
 バスローブを羽織ったまま、部屋中くまなく探しましたがありません。まさか一度に全部お洗濯するわけ無いですが、昨日は僕も舞い上がっていたので洗濯室に持って行ってしまったのかも知れません。バスローブのままお屋敷の中をウロウロするのは憚られるので、内線電話で板井さんに確かめてもらいました。暫くして板井さんから洗濯室にも無いけれど、昨日、秋一さんが買ってくださったお洋服があるだろう、と…

 昨日買って頂いたお洋服はいつの間にか僕のクローゼットにしまってありました。色々なお店で買って頂いたのに、お店を出るときは荷物がなかったので結局は買わなかったのかな、と思っていたら、荷物は別にお屋敷に運んでもらったのだそうです。昨夜、着ていた物をクローゼットにしまったときに新しいお洋服も沢山掛かっているのは知っていました…
 今朝はいつもの服だけが忽然と消えていたのです。

 犯人は秋一さんでした。
 いつもの格好も似合っているけれど、他のお洋服も着てみて欲しかったのですって。仕方なく、一番シンプルな白シャツとジーンズを着ましたが…だんな様に睨まれた挙げ句、いつもの服に着替えて自室へ下がれと酷く怒られてしまいました。だんな様の表情がとても冷たくて、恐くて…僕は震えてしまいました。こんなに近くで見下ろされ冷ややかな言葉を掛けられるのは久しぶりで…やっとの事で部屋に戻ってソファーでぐったりしてしまいました。

 そしてまた熱を出して…僕が震えていたのは恐怖心からだけでは無かったようです。慣れない洋服を着て、昨日から色々ありすぎたので具合が悪くなったのでしょう。秋一さんが、隠してあったいつものお洋服や解熱剤を持ってきてくれました。巽さんから解熱剤を持っていくように言われたそうですが、僕の顔色を判断できるのはだんな様だけ…だんな様はきっと、僕の具合の悪さに気がついてあんなに怒ったのだと思います。僕は自己管理がうまくできないので…迷惑を掛けないようにしなくては、と反省しました。

 明日の朝までに熱を下げて元気にならなければいけませんね。身体が温まるようにジンジャーティーを飲み、早めに休みます。