亮の日記
暫く日記が書けませんでした…
色々あって、まだ僕の頭の中はぐちゃぐちゃです。
今夜はだんな様も巽さんも秋一さんもいらっしゃらなくて、やっと、ゆっくり日記を書く時間ができました。
本家の伯父がお屋敷に来た日、僕はもうこのお屋敷にいられないのだと思いました。昔のように薬を使って本家の叔父とセックスさせられ、それをだんな様に見られたことはとても辛かったけれど、僕が本家に帰ることを拒否すれば秋一さんや巽さんばかりかそのご家族まで本家の手で穢すと言われ、だんな様の大切な物を根こそぎ奪うと言われたときのだんな様のお気持ちを考えたら…心臓を握りつぶされたような痛みを感じました。
僕は…助けて、と言えませんでした。だんな様はちゃんと僕の名前を呼んでくれたし、伯父に勝手をするなと怒鳴ってくれた。
久しぶりの伯父とのセックスは嫌で嫌で仕方がなかったけれど、ちょっと我慢していればみんなが無事でいられるのです。何も考えないように叔父との行為に没頭してしまえば全てうまく行くのです。
その後、早く一人になりたかったのに、だんな様はそれを許してくれませんでした。僕を抱き上げ浴室に連れて行ってくれて、その後はずっと手を握ってくれて、何度も何度も名前を呼んでくれて…薬の影響下にあった僕は初めての事に戸惑うばかりでした。今でも戸惑っているけれど…
翌日に目が覚めたら全てが今までと違っていて、だんな様が僕を抱き締めていたことには飛び上がりそうになるくらい驚きました。
伯父から聞いた僕の母と妹のこと、だんな様の大切な人達のことを考えると、お屋敷にはいない方が良いのは確実でした。それで皆さんがいなくなったときに大急ぎで支度をして…結果は散々でした。つい最近初めてお屋敷の外に出た僕は本家がどこにあるのかも知らず、やっとの思いでたどり着いた駅前で秋一さんに捕まってしまいました。
だんな様はまるで人が変わったように僕を構ってくれます。お仕事でいらっしゃらないとき以外はずっと側にいてくださって、抱き締めてくれたり手を繋いでいてくれます。何より驚いたのは、だんな様から愛していると言われたことです。その言葉は僕の体中を熱くして、こんがらがった頭の中が一層酷いことになります。嬉しいのだけど、困ってしまう…あんなに欲しいと思っていただんな様の笑顔も、ずっと向けられていると恥ずかしいのですね…だんな様のお顔をまっすぐに見ていられないのはいつものことですが、俯いていても視線を感じてますます顔が上げられなくなります。それで下を向いていたら、大きくて温かい手のひらで僕の顔を包み込んで、無理矢理上を向かされます…
夜、休むときも、だんな様と一緒です。あの日以来とてもお忙しいようで、とても遅くに帰宅されます。僕はお屋敷での仕事が済むと自分の部屋に籠もるのですが、自分の部屋ではなく、だんな様の部屋にいるようにと言われました。だんな様が帰ってこられた後自分の部屋に行こうとすると引き止められ、だんな様のベッドに運び込まれてしまいます。一緒に眠るのですが、心臓がどきどきして直ぐには眠られません。おでこやほっぺたに沢山キスをされるのはとても嬉しいけれど…朝、目が覚めたときもベッドから出してもらえなくなり、だんな様のお世話をする事が出来なくなりました…
朝食の準備をするために厨房へ行き、だんな様のお部屋のカーテンを開け、だんな様が起きてシャワーを浴びるのを確認してからその日のお洋服を選び、ダイニングルームへ行って朝食の支度が出来ているか確認します。だんな様が降りてこられるのを見計らって紅茶を淹れます。それが僕の朝の仕事だったのに、この数日は一度もさせてもらえません。紅茶だけは僕が淹れますが…これからは何もせずに甘えていなさいと、良く分からないことを言われました。だってだんな様は一日中働いていらっしゃるのに…ますます役立たずになったようで悲しいです。
あ、だんな様が帰ってこられたみたいです。もう日付が変わってしまいました。遅くまで起きていると怒られるようにもなりました。はやく電気消さなきゃ。