亮の日記
昨夜、巽さんが帰ってこられてから、だんな様に話しかけた事を報告しました。僕が意味不明な事を言ってなかったか、巽さんからそれとなくだんな様に聞いて欲しかったので…そしたらやっぱり、ラテン語で話していたそうです。と言ってもラテン語っぽいとしかだんな様には分からなかったようです。何で僕はこういうときに限って失敗するんでしょう…緊張していたけど、たまにしかないチャンスだったのに…
「気にするな。言葉は分からなかったが、意味するところは何となく分かったそうだ。亮が部屋を出て、お茶を飲もうとしたときに髪から雫が垂れて気が付いたらしい」
そう言いながら、巽さんも髪から雫をぽたぽた垂らしています…タオルを持ってきて欲しいのでしょうか…僕が持ってくると、拭いて欲しいとおっしゃられて…丁寧にしっかりと拭いてさしあげました。ほんとうに子供みたいな人なんだから…
巽さんの髪を乾かしてから、巽さんが昨日持って帰ってきてくれた中国茶を淹れる練習をしました。茶器も一セット頂いたのですって。早速、本の通りに淹れて、先ずは香りを嗅ぎます。濃厚で甘い、とても良い香りです。ドライフルーツをおつまみにして、小さい器でちょこちょこ飲みます。次の休みにでも、みんなで一緒にテラスで頂いたら楽しいだろうな、と思いました。お茶請けのドライフルーツや木の実を板井さんに買ってきてもらわなくてはいけませんね。
お休みの日まで、巽さんは毎晩お茶のお作法の特訓に付き合ってくれるそうです。それより緊張して外国語で独り言を言わないようにしなくちゃ…
「でも、なんとなく、何を言ってるのか分かるよ。昨日の迅もそうだと思うけれど、突拍子もないことは言わないからね。意味が分からなくても、亮の話す言葉は耳に心地良いから、それだけで気持ちがほぐれる」
そう言われて嬉しかったけれど、そんなにしょっちゅう話しているのかな?と心配にもなりました。明日、久実先生にお電話して相談しようかな…と思いました。