亮の日記
今日の朝、お屋敷の中に子犬が紛れ込んできました。黒と白で毛がとってもふさふさした子です。首にブルーのバンダナを巻いていたので、どこかで飼われている子のようです。僕が耕して野菜の苗を植えていた畑をもう一度丁寧に耕してくれました…でも、地面を掘りながら嬉しそうな顔で見つめられると怒る気にはなりません。仕方がないので僕も一緒にスコップで穴を掘って遊びました。
飼い主が探していると思ったので、板井さんにお屋敷の周りに張り紙をしてもらいました。近くの交番にも、お屋敷で預かっている事を伝えておきました。
どこに行くにも僕の後を付いてきて、とっても可愛かったです。お庭で沢山遊んだのでおなかが空いただろうと思い、板井さんにお砂糖をほんの少しだけ入れたパンケーキを作ってもらって一緒に食べました。僕ははちみつをかけて頂きました。わんちゃんも美味しかったようで、沢山食べてました。夕方に飼い主の方が見つかり、お迎えに来られました。お屋敷の近くに最近お引っ越しをされた、僕より少しだけ年下の子供さんがいらっしゃるお家で、とても心配していたのか、家族全員でお迎えに来られました。
わんちゃんの名前は「ダイちゃん」なのですって。玄関にご家族の方が入って来ると、ダイちゃんは一目散に駆けて来ました。お父さんやお子さんに飛びついてはね回って暴れた後、捕まえようとしたら、まだ帰りたくなかったのか、お部屋の中を突っ切ってテラスから裏庭に出て行って…呼ぶと近くまで来て千切れんばかりにしっぽを振り、手を伸ばすと届かないところに逃げてしまうんですよ。とても可愛いです。仕方がないので皆さんにはお茶を飲んで頂いて、僕はクッキーでダイちゃんをおびき寄せました。
途中で巽さんが帰ってこられ、なぜかペット用のビスケットを持っていらっしゃいました。板井さんから連絡を受けて、仕事を放り出して帰ってきたようです。
「私の仕事を迅に押しつけてきたから、当分帰ってこないよ。ゆっくりしていってもらうと良い」
お屋敷の外の世界を知らない僕のために、巽さんは気を利かせてくれたのですね。ダイちゃんのご家族と沢山お話しができて、とても楽しかったです。
だんな様は夜遅く秋一さんと一緒に帰ってこられました。今夜はもう遅いので、秋一さんには明日、ダイちゃんと遊んだことをお話ししようと思います。