亮の日記
今日は雨が降り、とても寒かったです。本家ではみな裸でしたが、一つの部屋に少なくとも四人ずつ暮らしていたので、みんなでお団子になっていればそんなに寒いとは思いませんでした。少なくとも僕が暮らしていた建物の中は…
今の方が、一人でいることが多いので寒いかも知れません。それで今日はずっと板井さんの部屋にお邪魔していました。僕の部屋より狭くて、冬は快適です。板井さんといると、お手伝いの女の子達もよく訪ねてきて、結局暇なときは大勢でおしゃべりしたりテレビを見たり、とっても楽しい。
今日はお手伝いの女の子が拾った仔猫を連れてきていました。おうちで飼うのですって。まだ凄く小さくって、三時間おきにミルクをあげないといけないんですって。みんなの控え室に置いておけば温かいし、いつも誰かが気に掛けてくれます。
正直に書くと、僕は一日中仔猫をみていて、仕事をしませんでした…ごめんなさい…
だってすごく可愛くて…ミルクを飲むときは一生懸命ほ乳瓶をちっちゃな手で揉むんです…喉や目元をそっと撫でてあげると、ぐるぐる言って気持ちよさそうにしてるんですよ?お腹が一杯になるとぽこんと膨らんで、歩くのも大変そうなのですが、それがまた可愛くて…
今日はたまたまお家の人がいなくて、それで仕方なく連れてきたのだそうです。毎日でも連れてきて欲しいな…でもそしたら僕もお仕事できなくなりますね…
夜、巽さんに仔猫の事を話しました。秋一さんとだんな様には絶対に内緒にしてくださいってお願いしました。あの可愛さが頭から離れなくて、どうしても誰かに聞いて貰いたかったんです。巽さんは楽しそうに聞いてくださいました。
「また連れてきてもらうと良い。亮がこんなに嬉しそうに話す姿を、私ももっと沢山見たいからね」
子どもの頃、だんな様は一緒に眠るときいつもおでこにキスをしてくださいました。今日の仔猫のように、だんな様の胸に顔を埋めて眠るととても安心できて、ぐっすり眠れました。巽さんも時々抱き締めてくれるけれど、何かが少しだけ違います。いつかまた、ほんの少しで良いから……
お休みなさい、良い夢を。