巽さんシリーズ

かいきんですよ

 悠斗は、ベッドにひっくり返って眠っていた。豪快に大の字を書き、規則正しい寝息をたてている。少し汗ばんだ額に張り付いた髪を退けたついでに、額から鼻筋、そして赤く色づいた唇に指を這わせてもぴくりともしない。柔らかい唇に沿って優しく指を滑らせた後軽く口づけると、巽は静かにベッドサイドを離れ、露天風呂へと向かった。

「京史郎さん…どれから食べよう…」
 巽が露天風呂から上がってもまだ眠っていた悠斗が目覚めたのは、夕食の支度で部屋が少しざわめき始めた頃だった。次々と座卓に並べられる美しい料理に驚きながらもまだ少し寝ぼけた風で、目元を擦りながら畳の上にぺたんと座り込んでいる。
『悠斗から』と、口から飛び出そうになるのをかろうじて堪え、巽は仲居が注いでくれたビールをぐっと飲み干した。
「少しづつ食べて味見すると良い」
「うん。じゃあはしっこから順番に食べる…」
 

 悠斗は、頂きます、と言った後はただひたすら端から少しづつ囓ってまわった。好き嫌いが無い中でも特に好きな物は肉。小さな鉄板で自分で焼いて食べるのだが、それだけはどうやら最後に回したいらしい。
 七割方制した後、そろそろ鉄板に火を入れようとしたとき、悠斗は巽が浴衣姿になっているのに気がついた。

「あれ…?京史郎さん、何時の間に着替えたの?お風呂入ったの?」
 目覚めて小一時間経っているのに全く気がついていなかった。
「ああ。悠斗が眠っている間に」
 旅館の物だが、高級旅館だけあって品物は良い。正月の羽織袴も格好いいと思ったが、浴衣に羽織で胡座を掻いている姿はなんだか色っぽい。そう感じた瞬間、鼓動が早くなり顔が火照り、俯く。
「どうした悠斗?」
「ん…お肉…食べる」
 

 チャッカマンを握りしめたまま俯いていると、巽の手がゆっくり伸ばされ、悠斗の手からそれを取り上げる。巽の温かい手が微かに触れ、そこから全身にぴりっと電流が走る感覚に、悠斗は首をすくめてしまった。
 胸が苦しい…
「食べ終わったら、腹ごなしに散歩に行くか?」
 きっと、京史郎さんは気がついてくれて、緊張しきった自分を解きほぐそうとしてくれているのだ。
 少し甘えても良いかな?
 でないと、心臓が止まってしまいそうなくらい、胸が苦しい。
「…うん」
 見るからにとろけそうな霜降り肉で、鉄板の上でじゅうじゅう音を立てて食欲を呼び覚まそうとお肉も頑張ってくれたが、ちっとも楽しめなかった。

 

 部屋の外に出ると、巽は悠斗の手をそっと握りしめ、そのまま手を繋いで敷地内にある庭園に向かう。途中で本田・克彦ペアに遭遇して思わず身構えた悠斗だが、からかわれるでもなく、すれ違いざまに克彦から何かを手渡された。
「あげる」
 悠斗の手のひらに落とされたのはあめ玉が二つ。
「飴?」
「うん。おいしいよ。今食べちゃいな」
 一つを巽に渡すと、包みをほどいて口に放り込む。口の中にミルクの香りがふわっと広がった。
「ミルク味だ。ん。おいしい」
「じゃあ巽さんのが苺だね」
 克彦は巽に早く食べるように目配せする。本田と巽はちらっと視線を交わすと、お互いに、僅かに口元をほころばせた。
「じゃね」
 夜目にも鮮やかな微笑みを残して去っていく克彦と本田を見送り、飴をほおばりながら、手を繋いで、ゆっくりと歩き始めた。

 

 部屋に帰り、草履を脱いだ途端に抱き上げられた。
 いつの間にか食事の後かたづけも終わり整えられた居間を通り抜け、ここもまたいつの間にかメーキングしなおされたベッドに優しく横たえられる。散歩の間に落ち着いていた鼓動が途端に速くなる。
「京史郎さっ…」
 まっすぐに見つめる瞳が近づくにつれ、抵抗する気は無いのに、それを止めようと悠斗の手が巽の胸元を押さえるように差し出された。
「悠斗…」
 巽は悠斗の両手に自分の手を優しく絡めベッドにそっと押しつけ、何度も口づけを交わした柔らかな唇に覆いかぶさっていく。
「んふっ…」
 絡めた指先を解き、悠斗の身体を抱き寄せながら口腔に深く舌を差し入れ舌を絡め取る。
「ふ…あっ…あ…?」
 

 心臓が破裂するかも…と思ったけれど、それはほんの最初の一瞬で、次の瞬間には正気に戻っていた。
「あ…れ?」
 巽を見つめると、普段と変わらない笑顔が目に飛び込んできた。
「さっきの…飴?」
「ああ」
 微笑みながら軽い口づけ。
「悠斗のがミルク味。私のが苺で?」
「…苺ミルク味!」
 

 くすくす、くすくす、笑い合いながら何度もキスをした。苺ミルクの味が無くなった頃には途惑いも不安も無くなり、相変わらず緊張していたけれど、広げられた作務衣の胸元に滑り込んできた手の平から伝わるのは快感だけではなく、溢れんばかりの愛しさだった。
「あ…きょうしろ…さん…」
 つぅっと薄紅色の乳首に指先をすべらせ小振りな蕾を弄ぶと、初めての刺激に身体を震わせながら巽の首に縋り付く。
「悠斗?」
 どうしたのか、そんなことは分かり切っていても言わせてみたい。どんなことでも隠さずに言葉にしてきた自分たちだから…
「…気持ち良いのか?」
「…ん」
 小さく頭を縦に振りながら吐息とも答えともつかない息を漏らす。
「悠斗の気持ち良いところを沢山探そうな」
「うん…」
 こくん、と頷く。
 

 そのあまりの可愛さに暴走しそうになるのを理性で封じ込め、恥じらいながらも全てを受け入れようとするかのように身体をすり寄せてくる悠斗に、一層深い愛撫を与える。
 ズボンの上から包み込むように、悠斗の雄に触れる。

「あぁっ…ああっ…んっ!」
 既にそこは張りつめていて、ゆっくりさすると細い腰をびくびくと揺らしながら可愛らしい声を上げはじめた。
 下着ごとズボンをずらし、まだ幼さが残るペニスをさらけ出す。
「やっ…きょうしろうさんっ…!」
 先端から零れる蜜を掬いながら全体を擦り上げる。
「はぁっ…んぁっ…だめ…きょうしろ…さっ!」
「ゆうと、我慢しなくていいよ」
 

 耳元で囁かれたことくらい何度でもある。巽の声やキスを思い出しながら自分で弄ったことだってある。けれどそんなもの比較にならないくらい気持ちよくて、囁き声もダイレクトに性器に伝わり、ほんの少し擦り上げられただけで快感が爆発しそうだ。そんな自分を曝し、観られていることに、胸がドキドキ、どころではない羞恥心が暴れ回る。
「あっ…あっ!…あっ!やっ!だめっ…!」
 止めて欲しい。止めて貰って、トイレに駆け込みたい…とまで思う。巽の腕を掴んで身体をはね除けて…じたばたしたいけれど、実際の所、全くからだが思い通りに動いてくれなかった。
 

 自分の下腹を打つ程に固く反り返った性器の先端からは先走りの液が溢れかえり、巽の手が動くたびにぐちゅっと卑猥な音を立てる。
「ここが、気持ちいい?」
 裏筋をすっと撫で上げながら、深く柔らかな声で聞かれた。
「あ…ん…う…ん」
 じゃあここは?と聞かれ、くびれを擦りながら鈴口に指先を押し当て、じっとりと弄られた。
「あっ!やっ!んぁっ…」
 せり上がる快感から逃げることが出来ず、一層強く巽に縋り付く。
「やだ…もうっ…でるっ!ああっ…はっ!あっ!ああっ!」
 

 暴れていた身体が一瞬硬直し、二人の腹部に熱い飛沫が飛び散った。巽は声を出すことも出来ずに荒くせわしない呼吸を繰り返す悠斗の体中に、愛しさの印を刻みつけていった。
「悠斗、愛してるよ…愛しすぎて、気が狂いそうだ…」
 何度も何度も、優しく囁きながら。
「ん…おれ…も」
 暖かな手、柔らかな唇、優しい舌、心をくすぐる声。 若く、だからこそ快感に従順な悠斗の身体はまたすぐに高みへ登り始める。
 巽は足をぐっと広げ、勢いを取り戻しつつある悠斗の性器を銜え込んだ。
「ふぁっ…!」
 羞恥心と下半身が溶けてしまいそうなその感覚に、悠斗はシーツを鷲掴み背を仰け反らせる。
「あっ…あ…きょう…っん…はんっ…」
 

 舌が蠢き、悠斗の一番感じる部分を暴露していく。適度に焦らしながら、時に悠斗が無意識に望む通り大胆に、舐め吸い上げる。巽の指が、後ろの穴にそっと触れ、固く締まったそこを優しく撫で始めると、悠斗は一瞬現実に引き戻されたように慌てて、巽から離れようと藻掻きはじめた。
「や…きょうしろうさんっ…そこっ…」
 応える代わりに、巽は悠斗のペニスの根本をきゅっと握りしめ、一層強く吸い上げた。
「ああっ…!!」
 強い刺激に翻弄されている間に、つぷ…と巽の指が悠斗の蕾に潜り込む。巽は何かぬるぬるする物を悠斗の中に丁寧に塗り込み、ゆっくりと内壁を擦りはじめた。秋一に教えられたとおりに洗ってはいたが、やはりそこは『汚い部分』としか思えない。気持ちが萎えそうになり、身を捩って巽の手から逃れようとする。
「やだ!!京史郎さんっ!!」
 

 逃げるだろう事も予想の範疇だったが…指先まで引き抜くと悠斗の嫌がる声を無視して2本目の指を入れた。
「もうっ…!やっ…きょうしろうさん…っ」
 巽が顔を上げると、悠斗が涙目で訴えている。
「どうした?」
「きたない…よ…」
「どこもかしこも、悠斗の全てが私は愛おしい。ここも…」
 後ろの蕾の深くまで潜り込ませた指を蠢かせる。
「んっ!」
「少し待って…悠斗の気持ちいいところを沢山探そうって言っただろう?」
 

 抱き寄せて耳元に囁くと、悠斗はおずおずと腕を伸ばし、巽にしがみつく。こうなることを望んだのは自分も一緒だ。大好きだから、全てをさらけ出してまた新しい関係を作りたいと悠斗も心の底から願っていたはずだ。恥ずかしいけど、ここで止めるのは嫌だ。一つになりたいという強い気持ちを否定したくない。悠斗は必死でしがみつき、巽に全てを託そうと、身体の力を抜いた。
 強張っていた身体の力が抜けたのが、巽の指先にも伝わってくる。深く口づけながら内壁をぐっと押し探ると、途端に悠斗の身体が跳ね上がった。
「んあっ…!」
 

 それまでの愛撫で張りつめていたペニスがぴくんと震え、悠斗の声が一段と高く響く。
「ここか…」
「ひぁっ!…ああっ!んっ…」
 軽く擦ると、息を震わせながら、大きく見開かれた悠斗の瞳がじんわり潤む。
 潤んだ目元に柔らかい唇が触れ、熱い吐息を感じる。絶え間なくわき上がってくる快感に自分でもわけが分からないくらい声を上げながら、悠斗はただ開放されたくて身を捩る。
「ああっ…んっ…んっ…はぁんっ…!ああっ…!」
 巽の指が誘うように強く擦り上げたとたん、悠斗は背を仰け反らせて熱い精を迸らせた。
「悠斗…」
 優しい声が耳朶をくすぐり、強張っていたからだがゆっくりと弛緩していく。
 

 悠斗を翻弄した指が抜かれ、しっかりと抱き締められる。
「京史郎さん…」
 安心すると同時に、巽のたぎった雄が下腹に感じられ、悠斗はまた少し芽生えてしまった途惑いを捨て去るために、巽の腰に自ら足を絡めていった。
「悠斗、力を抜いて、ゆっくり大きく息をして…お前が、欲しい」
「うん……」
 こくんとうなずく悠斗の身体から少し離れ、巽はいつも以上に怒張したものを後ろの蕾にぐっと押しつけた。
「くっ…!んぁっっ!」
 

 熱い刀身の先端がずるっとした感覚と共に身体の中に侵入してくる。身体を引き裂かれるような痛みに逃げ出しそうになりながら、それでも言われた通り呼吸をするけれど、呼吸の仕方すら忘れてしまったような引きつったような嗚咽がもれるだけだった。
「きょうっ…あぁっ…あっぐ!」
 名前を呼んだけれど言葉にならず、何度も何度も心の中で名前を呼んだ。
「ゆう…と…力を…抜いて…」
 そんなこといわれても無理だと思う反面、巽の言葉からそれまでの余裕が完全になくなり自分と同じくらい息を荒げている事に気が付く。
 

 しっかりと抱き留められ密着した身体から、熱さと共に巽の鼓動が伝わってきた。いつも冷静で大人の余裕を見せつけていた巽の、信じられないくらい速く力強い鼓動。自分がこれだけ苦しいのだ。中に入ろうとしている巽だってそれなりのダメージを受けているはず。
 そう思うと、愛しさが身体から溢れそうになる。
 力を抜き、巽の動きにあわせ痺れる腰を揺らすと、巽のものが一気に押し入ってきた。
 

 気が遠くなりそうな痛みと圧迫感に驚き、一瞬目を見開いた先にあったのは巽の優しい笑顔で、それは悠斗が誰よりも愛していて、信頼していて、やすらぎを与えてくれる人の笑顔。
「きょうし……」
 最後まで呼ぶ前に、唇を塞がれてしまった。
 温かくて大きな手は背中から腰にかけて労るように優しく撫でてくれている。
「大丈夫か?」
「ん…」
「少しこのままで…」
「もしかして、疲れた?」
「まさか…誰に言ってるんだ?」
 二人でくすくす笑いながらキスを繰り返す。
「悠斗、お前の中、気持ちよすぎるな…さっき指で擦ったところ、覚えてるか?」
 耳元に囁かれて体中がかっと熱くなる。
「なっ…!」
「もっとお前の中を感じたい。私のペニスで気持ち良いところを擦って、お前がよがり狂う様を見てみたい…」
 

 知的で上品でかっこいい巽にそんな台詞を言われ、それだけで繋がった身体の奥が疼く。
 真っ赤に染まった顔を真正面から見据えられ、悠斗は羞恥心から目をつぶってしまった。
 巽の普段とは違う言葉に羞恥心とは別の感情が芽生え、意思に関係なく身体の中がぴくんと収縮をはじめた。
「はっ…あぁ…あっ…あ…」
 ゆっくりと巽の腰が動き、違和感と圧迫感とは別の、指で弄られた以上の快感の波が押し寄せてくる。
「あっ…んん…はあっ……!そこ…や…あっ…!」

 

 緩やかで浅い抽送を繰り返しながら悠斗の一番感じるところを刺激すると、体中が微かに震える。巽のペニスを包み込んでいる熱く柔らかい中も小刻みに震え、得も言われぬ快感を運んでくる。
 巽は悠斗の負担を気にして手加減するつもりがそんな余裕も吹き飛ぶほどの快感に襲われ、理性を手放したい衝動に支配されつつあった。慣れないはずの悠斗の身体は想像以上に快感に敏感で、巽が激しく動けば動くほど絡みつき、強烈に締め上げる。ひっきりなしに聞こえてくる悠斗の喘ぎに聴覚も刺激される。
「あっ…あっ!はっあっ…はっ…ああっ!」
「ゆう…っ!」
 生温かいものが巽の腹部に解き放たれ、悠斗の身体が硬直する。強烈な締め付けの中、巽は自身のペニスをギリギリまで引き抜き、痙攣を繰り返す悠斗の最奥まで一気に突き上げると、熱くたぎった精を迸らせた。

 

 ぐったり目を閉じた悠斗を優しく抱き寄せる。
「んん…」
 甘えるような声音に巽の下半身が僅かに反応し、悠斗がぴくっと目を開けた。
「京史郎さん…やだ…もう…」
「何を言っても無駄だぞ…」
 悠斗の声が、微かな身動きが、まだ繋がったままの下半身にダイレクトに伝わってくる。
 それに答えるように少しだけ腰を振るときゅっと中が締まり、その悪戯を巽はなかなか止めようとはしなかった。
「も、抜いて…」
「…悠斗が締め付けるから抜けないんだ」
「だって…あぁっ!」
「ほら、こうすると、悠斗が感じているのが分かるよ…」
 もうそれ以上言わないでよ…
 そう言おうと思った瞬間に何度か突き上げられ、その気持ちよさに悠斗はまた流されてしまった…

「本当はね、さっきもこうやって一緒に入りたかったんだ」
「さっき?」
「昼間」
 抜いて貰えないまま何度か気を失わせられ、どのくらいの時間そうやって過ごしていたかの感覚も無くなっていた。
「でもさ、なんか緊張してて…」
「もう緊張しなくなった?」
「ううん…」
 そんなことはない。何度もあんな事をされたのに、巽の裸をまともに見たのはお風呂にはいるときが初めてで、あんなものが身体の中に入っていたのかと思うと、本当にちらっと見ただけなのに、色々思い出して気が動転してしまうのだ。
「あ、あのさ、克彦さんにお礼しなきゃだね」
「ふふ…イチゴミルクか?」
「うん」
 

 あれがなかったら、もしかしたら心臓発作で今頃病院のベッドの上だったかもしれない。
 とっちらかっていた悠斗の事を考えてくれたのか、言葉はぶっきらぼうな上に辛辣だけど、小憎らしい演出で気を配ってくれた克彦に、ちゃんとありがとうを言いたい。
 想い合う心以上に必要なものがあるのか疑問に思っていたけれど、身体を繋ぐことで巽と同じ時間を共有できた。巽と知り合ってからかなり長い時間を二人で過ごしたけれど、好き過ぎてすれ違ったり憤ったりから回ったり、そんな事が多々あった。大人と子どもの立場の違いで我慢しなければならないことも。
 …翻弄されっぱなしだったかもしれないけれど…痛いのも気持ちいいのも二人とも同じで…全てを二人で同時に感じていられた。


「悠斗?」
 何事か考えていた可愛い恋人の身体からだんだん力が抜けていき…どうやら眠ってしまったようだ。 露天風呂から抱き上げ、タオルにくるんで寝室のベッドに運ぶ。使っていない方のベッドに横たえると、無意識のうちに巽に両腕を伸ばしてくる。
「ゆっくりお休み…」
 起こしてしまわないようにそっと口づけ、悠斗の隣に横たわった。

(これからずっと、巽さんと悠斗が同じ夢を見続けていられますように)
 

 出掛ける前に亮からもらったメールを思い返し、巽は心地よい温もりに包まれ深い眠りに落ちていった。 

   

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